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2005年11月号 |
『あの選挙から』 |
暫くたつと・・・、と書き始めると、暫くとはどれくらいの月日の経過を意味するのか・・・と文句の一つも言われそうですが、暫くたつと「あの選挙から、世の中なにか変り始めた」と言われる時が来るんじゃないではないかと、9月11日の総選挙から1か月余りが経過した現在、机に向かいながら、そう思いにふけっております。
今回の総選挙を振り返って結果だけを見れば、「自民党と民主党が戦い、自民党が圧勝した」といった、きわめて簡単な構図しか見えてきません。しかし、少し角度を変えてこの結果を分析してみると、随分異なったものが見えてくるんじゃないでしょうか。
ご存知のように、この10月1日に国勢調査が行われました。速報値が上がってきていませんが、人口は1億2600万人余・・・という数字になるようですが、そのうち都市在住の国民は何人いるかご存知でしょうか。人口10万人以上の都市に住んでいる人は、全国民の65%になるんです。5万人以上の市を含めますと81%。つまり町とか村に住んでいる人は全人口の2割にもならないという現状を頭に入れておかなければ、今回の選挙結果を正しく分析できないんじゃないでしょうか。
今から4年ほど前、私は自民党の政調会長を務めていました。毎日15分きざみで陳情を受け、その間に飛び込みで入って来る国会議員の話しを聞き、判断して答えを出すのが仕事なんですが、「社長をやっている時、これくらい働いていたらさぞ儲かっていただろうに・・・」とよく思ったものです。
しかし、よく考えてみたら、自民党本部にまで陳情に来る人は、実は極めて限られた人で、多くの意見、つまり世論というものと、陳情の整合性は本当にあるだろうかと、疑問を持ちました。そこで党独自の世論調査をやろうと企画して実行したんです。
政調会長室の感じでは、国民が政治に期待するものの一番は景気対策、雇用対策だと想像していましたが、全く違いました。「治安」、「安心・安全」が断然一番に挙げられたんです。特に都市部において顕著でした。正直申し上げて私も驚いたんですが、治安対策、安全・安心が、政治に期待されている優先順位の一番というのが正しいとするならば、自民党は政策を変更せねばなりません。
警察官の増員が答えの一つになります。警察官も地方公務員ですから、削減の対象となっております。警察官を例外にするのは、政治決断が要求されます。もちろん、刑務所の看守も、出入国管理官も皆、直接、間接に治安に関わっているのは当然です。
そこで自民党は3年間で警察官の1万人増員というのを断行したんです。空き交番の解消というのも、警察官の増員ができなければ実施できません。3年がかりでこれを達成し、更に3年でもう1万人の増員も決定した結果、それまで悪名の高かった東京新宿の歌舞伎町、渋谷等の盛り場から、いわゆる「マジヤバイ」のが消えて、健全とまでは言えませんが「軽くヤバイ」程度に治安が向上したんです。「空き交番」の話しもあまり聞かれなくなったとは思われませんか。
自民党が、業界や団体の既得権益を守るかわりに、票と選挙資金を獲得するというシステムにメスを入れ、国民の8割を占める都市住民の要望に応える国民政党へと、確実にその軸足を移したのが、この4年間だったと思います。自民党は、党内の反対派や、最も有力な支援団体でもある全国特定郵便局長会を押し切り、大量公募、女性枠を作るなどして、小泉純一郎総裁のもと、生まれ変わったイメージ作りに成功し、若々しい改革政党といった鮮度を民主党からとり戻したんです。
反対に民主党は、自民党内の対立を利用して漁夫の利を得ようとするズルい政党になってしまいました。加えて、郵政民営化への賛成者が党内の半分はいるのに、残り半分は旧社会党系で官公労との絡(しがらみ)が強いことが露わになってしまい、若さという鮮度が一挙に落ちたと思います。
自民党は、農村部、過疎地の票を多く失いました。この追い風の中、北海道、東北で比例代表の得票数を減らしています。しかし、都市部では基盤の弱い民主党のお株を奪い、圧勝しているんです。この決め手は、これまでの関係を切る覚悟と迫力が党首にあったか無かったかにあり、それが今回の勝敗の差を生んだと、私は確信しています。
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