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嘉麻の里
2006年1月号 『今年も不景気ですか?』
 新年、明けましておめでとうございます。
 昨年10月末に総務大臣から、外務大臣へと職場が変わったため、1か月半の間に4回、海外出張をすることになりました。この稿を読んで頂ける頃には、インド・パキスタンと、オーストラリアに出張していることでしょう。英語に余り不自由がないためもあり、また、いつでもどこでも眠られる才能を両親から授けてもらったこともあり、今のところ健康を特に害することもなく、元気に仕事をしています。
 さて、今年も1月4日から、各所で仕事始めの儀式が行われたと思います。そして社長さん方の年頭訓辞は「我が社を取り巻く環境は厳しい‥・」といった緊張感を持たせるような話しで「皆、気を引き締めていこう‥・」という下りで終わったと想像します。
 しかし、果たして日本経済を取り巻く環境は今年もそんなに厳しいんだろうかと疑ってみたことはありませんか。
 昨年3月、東証一部上場企業の約1600社が公表した、預金総額は約86兆円(因みに国家予算は1年間で約82兆円です。)で、一昨年の約2倍でした。 今年の3月決算では、おおよそ150兆円を超えると予想されています。
 ご存知かと思いますし、私も何回かこの稿で書きましたが、日本は大東亜戦争敗戦後初めてデフレ基調の経済を経験しているんです。インフレからデフレになると経済の基調は大きく変わります。消費者物価が下がったという程度の話しではありません。
 日本の場合、企業は貸出し金利がいくら下がっても、借金の返済を優先して、新たに金を借りようとしないんです。金を借りて金利を払い、設備投資をやって新しい製品をたくさん作って販売するより、借金を返済して金利負担を下げようとしているんです。これを経済用語では、利益の最大化を止めて、負債の最小化を目指すと言うんです。
 また、不動産価格が総量規制という名の行政指導によって暴落しました。不動産を担保にしてしか金を貸さないのが日本の金融業界です。従って過去10年余りにわたって、各企業は不動産担保の不足を理由に、増し担保を銀行から要求され、貸し渋り・貸しはがしの仕打ちにあってきたんです。各企業はやむを得ず資産を売り、設備投資を抑えて、借入金返済を優先して、バランスシートの債務超過を補う努力をし続けたんです。その成果が、一昨年後半ぐらいから明らかになり始め、企業の債務超過状況は急激に減少しています。
 他方、この10年間、IT関連の技術革新はすさまじく、工場を新鋭化していない企業は生産性の面で他社に後れをとっていますから、急いで機械を発注し設備投資をしなくては生き残れません。それがこのところの機械受注の大幅な伸びであり、設備投資が急劇に回復している背景です。
 しかし、これまで貸し渋りや貸しはがしで痛い目にあってきた企業は、安易に金を借りようとはしません。 そこで余裕資金というか、経常利益の範囲でくらいしか設備投資をしようとはしないんです。それがこれだけ景気が回復し、企業の経常利益が出て設備投資が増加しても、銀行の貸し出しが増えてない理由です。
 少々書きすぎたかも知れません。しかし、「貸出金利がゼロになっても、企業が金を借りて設備投資をしない‥・、という前提で経済学を書いた本があったら是非教えてほしい。」と、私が、ブッシュ大統領の経済担当補佐官に質問した時、リンゼー補佐官は「日本ではそれが起こっているのか」と問い返し、以後この5年間で日米間に経済摩擦は起こっていないと思います。
 どうやら、自らの努力により財務体質を改善した企業は、経営姿勢を前向きに変え始めました。都市部の地価も下げ止まりから上昇に転じ始めました。従って、企業の不動産資産は増えていますから担保力も増える。それが今年からハッキリと見えてきます。今年もこれまでの10年間と同じようにデフレ不況が続いていく、と言う固定概念で景気を見るべきではありません。
 今年は株価等、明るい話しが聞かれる年になると、楽観論を述べて年始めの異論にさせて頂きます。


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