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2006年2月号 |
『外交って難しいですか?』 |
外務大臣職を拝命してから、はや3か月が経過しようとしています。外交というと、何か特別なもののように感じている人も多いようです。しかし人間が作っているのが国家ですから、国同志の関係も基本的には人間関係と同じです。
そこで思い出してみて下さい。小学校の頃、子供の間で一番デカイ顔をしていたのは誰でしたか。喧嘩の強い子だったんではありませんか。では、教室の中で一目置かれていた子はどんな子でしたか。それは勉強ができた子に決まっています。喧嘩の強いのが「番長」、勉強の出来る子は「級長」と呼ばれていたでしょう。
しからば逆に、子供の間でイジメられていた子はどんな子でしたか。喧嘩は弱い、勉強もできない、だけど金持ちの子、しかも成金の子供が、一番イジメられていたんじゃありませんか。豪華な弁当持って行きゃ食われ、格好のいいシャープペンシルを持って行きゃ取り上げられる。そんな思い出の一つや二つは、皆、持っておられることでしょう。これは何も日本だけのことではありません。世界中だいたい似たようなものです。
そこで、喧嘩が強いのが軍事力、勉強ができるのが文化力、そして金持ちを経済力と置き換えて見て頂くと、国際政治が少し見えてくるかもしれません。
冷戦崩壊後、世界で最も強い軍事力を持った国はと言えば、間違いなくアメリカでしょう。文化水準の高い国はと聞かれれば、それは多分フランスということになります。英語よりフランス語の方が、なんとなく上品と思われている方も多いと思います。フランスの軍事力はといえば、1870年の晋仏戦争以来、5・6回戦争をしていますが、全て実質的には敗戦しています。経済力もフランの引き下げをEUができるまでの約百年間で十数回していますが、G7(G8)サミットという主要国首脳会議には、第1回のランブイエサミットから今日に至るまで、ずっとチャーターメンバーとして出席しています。やはり級長と言われるようなフランス文化の力が存在しているからだと思います。
そこでイジメられっ子は・・・というと、悲しいかな、日本と思ってしまう人が多いんじゃありませんか。軍事力は無いわけではありません。自衛隊は存在していますが、しかし軍隊として認知されていない。文化的には、確かに目を見張るものが伝統文化として存在しています。しかし、グローバルな文化として世界中で認知されているのかといえば、今ひとつだろうと存じます。しかし金はある。無資源国家といわれる程、天然資源に恵まれていないのにもかかわらず、世界第2位の経済力(GDP)を誇り、外貨準備高は約8400億ドルとIMF統計(2005年9月末時点)で世界第1位、貿易収支と経常収支は共に黒字を維持しているという先進国は他に見当たりません。サミットでは欧米以外の唯一の国ですが、メンバーから外れたことは一度もありません。
いかがでしょう。上記が、「外交」の本質を考えてほしい時に、私が例として出すものの一つです。
国際政治といわれるものの本質は、「力」と「国益」を基本的な軸として動いていきます。21世紀の前半、かなり長い間だと想像しますが、国際政治や外交は、大西洋における米欧の対峠、東アジアにおける米中の対立を主な要因として動いていくでしょう。そして忘れちゃならないのは、大国復活を考えているロシアの存在だろうと思います。しかし、当分の間アメリカは、一国としては、いわゆる列強といわれるようなロシア、中国、欧州とは別格の位置に存在し続けるでしょう。ロシア、中国、そして欧州はアメリカがデカイ顔して存在していることに不満を抱きつつ、アメリカとの国力の差を詰めようとします。もちろんアメリカは、現在の地位をより確固たるものにしようとします。
翻って、日本はといえば、彼らの争いを不安げに見つめているイジメられっ子の位置に存在しているんじゃありませんか。
しかし、現状を分析してみれば、心情左翼や一部マスコミの反米感情に関係なく、アメリカと同一歩調をとることを基本姿勢とするのが、日本にとって得策なんじゃありませんか。隣の席に危なっかしいのがいるのに、自力で守ることができないのであれば、ケンカの強い者と仲良くするのというのは、子供でも知っている生活の知恵ではないでしょうか。少々単純化しすぎていますが、「異論」の一つとして参考にして下さい。
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