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嘉麻の里
2006年4月号 『格差』
  最近の国会討論で、「格差」とか「格差社会」という言葉を聞くようになりました。小泉改革が推進された結果、世の中は以前に増して「所得格差が拡大している」という話しのようです。統計的に見れば、1980年代後半くらい、つまり1ドルが240円から120円へと円が暴騰した頃から格差が拡がってきているというのは確かのようです。しかし、問題はその理由、背景だと思います。
 第一の理由として、私が異論を述べるなら、人口の高齢化だと思います。もともと日本の所得格差は、若い年齢層より高齢者層の方が大きい。初任給と退職時の給与とを比較してみてもご理解頂けると思いますが、その高齢化層の人口比率が高まっているんですから、統計に出てくる所得格差も大きくなります。
 次にデフレも大きな要因だと思われます。思い出してみてください。オイルショックが起きた昭和40年代から50年代にかけての頃、給与は毎年20%から30%上がりました。10万円の初任給が翌年には12・3万。そして3年もすれば20万円にもなろうという時代でした。今じゃ考えられないでしょう。しかし同時に消費者物価も毎年30%くらい上がっていたんです。時の大蔵大臣がつけた名前が「狂乱物価」。当時私は、会社の社長をしていましたが、今思い出してみてもゾッとするような時代でした。しかし、世の中の風潮は「格差社会」ではありませんでした。物価が30%上がり、手取り(可処分所得)は5%のマイナスになっても、給与が25%上がっていれば、夫は女房の手前、格好は悪くなかったんです。
 翻って、今はどうでしょう。デフレの影響で給与は全く上がらず、春闘によるベースアップもほとんどありません。しかし物価は下がっていますから可処分所得は増えているんです。ところが給与が全く上がらないから気分が悪い。狂乱物価の時もそれなりに大変だったのですが、給与も上がった。しかし給与が全く上がらないというのは楽しくない。気分が良くないんです。数値からいけば今の方が狂乱物価の時より可処分所得は増加しているんですから文句は言えないんですが、なんとなく気が晴れないんです。それがデフレの恐ろしさの本質じゃないでしょうか
 もう一つよく言われるのは「規制緩和悪玉説」です。例に出されるのが、規制緩和によって、タクシー運転手の給与が低下したとか、人材派遣業により、パートが増えて正社員が減ったという話しです。確かに規制が緩和されたため、タクシーの数が増え、料金が下がったことにより、タクシー運転手の平均年収は低下したと言われています。しかし、ものは考えようです。もし、規制緩和がなかったとしたら、確かに既存の運転手さんの給与は下がらなかったかもしれません。でも、不況により解雇された中高年が、タクシー運転手として再雇用されることはなく失業者になるか、もしくは、より安い賃金の仕事に就かなければならなかったんじゃありませんか。つまり、タクシー業界の規制緩和がなければ、所得格差はもっと大きくなっていたということです。パートや派遣社員が増えたので、正規社員との所得格差は拡大したけれど、失業者がその分だけ減っていますから、社会全体としての格差は縮小したという面もあるんじゃないでしょうか。
 つまり、規制緩和が格差拡大に影響を与えるという話しは、誰と誰をどのように比較するのかによって異なった面が見えてくるんです。不況によって、デフレによって、低所得者が増えた話しと、規制緩和が所得格差を煽ったという話しは、別の議論だと思います。
 色々例を引いて「格差が拡がっている」という話しに異論を述べてみました。しかし、ここで必要なのは、格差も様々あるが、どんな格差を問題として議論すべきかです。残念ながら格差が起こった理由が、本人の努力不足の為か、それとも運が悪かった為なのかを 正確に第三者が判断することは不可能です。努力して差がつかなきゃ、努力する人の数は減り、社会から活力が失われます。逆に全て努力の結果だけと見なすと明らかに強者のみが生き残ります。
 要は格差の是非は、人々の価値観に依存するということです。最低の生活水準保障や社会保障制度の整備、それに教育を含め幼児期における格差を小さくして運・不運の影響を小さくするといったところが、皆で合意できる格差対策じゃありませんか。格差と格差感は似て非なるものじゃないかと思いつつ。


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