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嘉麻の里
2006年5月号 『四十億人を相手に』
 国連の統計によれば、世界の人口は約63億人(2004年)で増加の傾向。日本は約1億2600万人で減少傾向にあります。こういう数字だけを見ると、日本の若年層は少子化によって更に減少、高齢者は更に増え、人口の20%だった高齢者比率は早晩25%にまで増加して、4人に1人は65歳以上になり、日本の活力は失われてしまって経済大国日本の将来は暗い・・・世の中の論調は大体以上のようです。しかし、本当にそうだろうかという「異論」を今回は書いてみようと思います。
  日本の経済界というか産業界は、これまで日本人相手に国内市場で製造し、国内需要以上作ったものを輸出するという考え方で物作りに励んできたのではないでしょうか。この考え方を基本にして商売を考えれば、これから物を買う人の数が減ることにより、段々と先行きは難しくなるということにならざるを得ません。
 確かに日本人は商品の品質にうるさい。百円ライターですら壊れたら文句をいう人が多いんですから、作る方は完璧を極めようとします。だから製造コストが上がるんです。しかし世界を見回して、こんなに品質にこだわる国民はそんなにいません。従って日本で売れる商品は世界に出しても、品質の勝負で負けることはありませんが、その分値段は高いんです。円も1ドル360円だったのが、これだけ物価が上がったのに120円になっているんですから、単純に計算しても輸出価格は3倍になっているんです。そこで人件費が高い分を、安い労働力で補おうというんで、1980年代中頃から、多くの企業が海外、特に労働賃金の安いアジア、中でも中国大陸に工場を移設していったんです。
  しかしこのところ、自国の多くの工場で経験を積んだ中国人は、自分達でも同じような製品を作り出し、それを中国製品として輸出し始めたため、日本企業は技術力の高さを要求されない低付加価値の製品は中国に譲り、付加価値の高い製品に特化して国内で作るようになってきているのが最近の傾向のようです。
 しかし、ここで発想を転換してみます。売る相手は日本人ではない。最初から世界市場を相手にした製品を作ろうというように考えてみます。
 具体的に冷房装置付きのエアコンを例に引いてみましょう。エスキモーとか北部ヨーロッパの人は冷房装置を家庭に必要とはしませんから、大体世界の3分の2、約40億人を商売相手にすることにしましょう。 
 1990年代の頃でしたか、アメリカのエアコンメーカーで「キャリア」という会社が、ウインドウ取付型エアコンを、小売価格100ドルに設定し作ろうとしていました。当時の松下電器の同機種が14万8000円していた頃です。
 日本人の発想では、とても無理な価格設定に思われるんじゃありませんか。しかし売る相手は日本人じゃないんです。従ってエアコンにスイッチは一つ。ONかOFFだけです。強とか弱とか微風なんて不要。音も静かにすることは考えない。もちろんタイマーなんか無しです。取付けは自分でやる。見てくれをきれいに仕上げるなんていう努力も不要。そういう商品は日本人相手じゃ、まず売れません。しかし、富裕層の少ないアフリカや南アジアの暑い国々では、需要があると思いませんか。
 今までの日本人の常識ではそういう商品は粗悪品扱いでしょう。しかし値段は安い。間違いなく冷えることと、安さだけに着目して商品を作ることに専念するという商品開発をやった日本のメーカーがあったでしょうか。
 世界は、いわゆる貧しい人の方が多いんです。電力の消費量が少ないに越したことはないでしょうが、それ以上に自分の好みをいうことで値段が上がるのなら、安い方のエアコンを買うとは思いませんか。40億人相手の商売とはこういうことです。高い付加価値をもつ商品開発をする技術力は大切です。しかし今のままでは途上国の追い上げが一層強まり、物作りができない国になってしまうのではありませんか。世界の需要を考えて物作りをするという発想の転換が、この先、人口減少の日本が生き残る選択肢の一つだという異論を述べてみましたが、是非ご意見を聞かせて下さい。


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