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嘉麻の里
2007年1月号 『日本の底力』
   新年明けましておめでとうございます。  
   それぞれによいお正月を迎えられたことと存じます。  
   さて、昨年は外務大臣として、また自民党の総裁候補として、多忙を極めた一年でした。外務大臣として引き続き安倍内閣に留まることになりましたので、その後も山積する日本外交の諸課題に取り組みながらも、今のところは元気にしております。大体外務大臣を長く務めると、大病したり亡くなられたりするのが過去の事例です。過労で死なないように注意しながら職務に精進して参ります。  
   私はこの数年間実感していることを、この稿でも再々「異論」として書いてきましたが、今の職に就いてから、確信したことがあります。簡単に言えば「日本の国際的地位が変わった」ということで、これは日本の大変革と言われているものの中で、今までと一番違っている点です。  
   明治維新この方、大東亜戦争敗戦後も、日本は西欧に「追いつき、追い越せ」で来たのですが、それが「追い越してしまっている」という現実を自覚し、これまでの意識を変革しないと、日本はすべての国際的な判断を誤ると思います。  
   マスコミとか、自称識者と思っている人も、もう少し素直に物事を、特に日本という祖国の現実を見て、今や我が国は多くの分野で世界の先頭を走っていることを認めると、多くの事柄が見えてくるんじゃないでしょうか。  
   脱イデオロギー,清潔第一,勤勉第一,健康第一,もったいない,省エネ,教育普及,中流意識の高い社会・・・等々、思いつくままに書いても、多くの分野で日本が世界のトップを走っているんじゃありませんか。またバブル経済を卒業した日本人の意識も大きく変わったんじゃないでしょうか。高級ホテルのフランス料理はもう食べた。確かにおいしかったけれど、週3回は行きたくない。居酒屋のおでんで一杯というのもいいし、自分で作ってみるのも結構楽しいし面白い、という感性が広がりつつあるのではないでしょうか。  
   グローバル・スタンダードとか言われて「日本型経営かアメリカ流のグローバル経営か」という議論も、盛んにマスコミが煽って書いていました。しかしその結果も見えてきたんじゃありませんか。「アメリカ向けの輸出商品を作る会社はグローバル型。日本人向けの商品を作る会社は日本型経営」というのが答えなんだと思います。品質の良い品物を作りたいなら日本式です。クオリティを求めるならクオリティの高い社員を集め、手間ひまかけて皆で心や力を合わせ、思いを込めて製品を磨き上げなければ、よいものはできません。「そんなものは限られた製品で、美術工芸品の類だよ。他にゃアニメくらいじゃないか」などともよく言われたものです。
   しかし、トヨタがレクサスを作って成功。「あれは日本の工業製品ではない。芸術品だよ」とまで外国人から言われるようになり、状況は大きく変わったのです。さらに50インチなんていう大画面の薄型テレビ。液晶とかプラズマとかありますが、あれは日本の技術の勝利だと思っている人が多い。本来テレビなんて、見えれば、もしくは映ればよいわけでしょう。しかし日本人の感性、美意識は「美しい画面」を要求するんです。そこでテレビ製造会社はクオリティの高い社員を集めて開発し、それを作って見せたら、海外でも売れ始め、輸出商品になったんじゃないでしょうか。
   ここで大事なことは、最近成功している商品、カラオケ、コミック、アニメ、コンピューターゲーム、フィギュア等々の、日本から世界に広がった文化商品、サブカルチャーは、もともと輸出して儲けようと思って作ったものではないということです。自分たちが好きで、楽しむために作ったもので、回転寿司やカラオケの機械も輸出するつもりで作っていたはずはありません。それが今では立派な輸出産業になったんです。日本が売りつけた訳じゃなく、そんなに宣伝もしていないと思いますね。もちろん、文科省や経産省、外務省が普及のために予算や補助を付けたこともないでしょう。
   つまり自分たちが好きで作ったものを、真似する人が出て来ることが大切な点です。日本人の美意識が、感性が、世界の人々に影響を与え、それが産業にまでなっている現実に素直に向き合って頂くと、今日世界で起きている現象が分かりやすくなると思います。
   これが日本の底力です。


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