麻生太郎オフィシャルウェブサイト
ホーム

麻生太郎事務所
【議員会館】
〒100-8981
東京都千代田区永田町2-2-1
衆議院第一議員会館301号室
電話:03-3581-5111(代表)
【筑豊事務所】
〒820-0040
福岡県飯塚市吉原町10-7
電話:0948-25-1121
プロフィール 講演・論文 我が選挙区 活動報告 出版物 記者会見 リンク きょうたろう

プロフィール

≪ 一覧に戻る

嘉麻の里
2007年5月号 『絶望と貧困(一)』
   9・11事件以来、世界、特にアメリカは「テロとの闘い」を掲げて、苦しい道を進んできました。アフガニスタン、イラク等での一連の戦闘は、テロや大量破壊兵器の脅威を消滅させるという目的に向かっての闘いです。
    国家と国家との闘いなら、「正規軍対正規軍」といった型の、いわゆる「戦争」になるんですが、テロは違います。相手は国家ではなく、テロリストという集団です。従って、その目的も手段も通常の戦闘とは様相をまったく異にします。対処の仕方も当然異なるわけです。現在、中近東で起きている一連の爆弾テロなどは、買い物客の多い市場などで起きているのを見ても、その違いが おわかりでしょう。
  イスラエルとパレスチナの状況も、1948年のイスラエルの建国以来、ずっと継続しております。パレスチナ人から見れば、自分たちの住んでいたところに、国連決議を背景に「イスラエル」という国が、突然建国されたのですから、当然紛争が起きます。それが今日まで約60年続いているんです。
  「現状を認め、ヨルダン川の西岸やガザ地区をパレスチナ地区として認めよう。その代わり、今のイスラエルも国として認め、双方で共存したらどうでしょう・・・」という提案はこれまで何回かされましたが、双方折り合いがつかず今日に至っております。
   アラブ諸国はパレスチナ側、アメリカがイスラエル側で、ヨーロッパがその狭間で揺れてきたといった構図で、戦争も度々起きています。休戦状態になったのちも、テロが頻発している状況が続いております。エルサレムという、旧約聖書に出てくる聖地の帰属が、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教にとって、お互いに譲れない領土問題でもあり、このパレスチナ問題こそは、いま起きております中近東の不安定な状況の根本問題のひとつだと思われます。
   歴代アメリカ大統領はイスラエル側を支持して来ました。その中で、アラブとイスラエルとを比較的同じ距離に置こうとしたのは、パパ・ブッシュ氏だったと記憶します。ところがそのブッシュ氏は大統領選に負け、クリントン氏が当選。そして在職8年の間に、この大統領は中国に家族で一週間滞在・・・という異例の日程もありました。自国の戦略的位置付けに米中の距離を投射せざるを得ない日本やインドには、この「米中接近」を深刻にとらえ、懸念する見方が出たことは、ご記憶にあるかと存じます。
  そのブッシュ氏の息子が大統領となった2001年の9月11日、イスラム主義急進派であるアルカイーダの一味が、ニューヨークの貿易センタービルに自爆突入という計画を実行しました。当然、ブッシュ・ジュニア氏としては、パレスチナ問題に深く関与しようにも出来ない状況に追い込まれ、アルカイーダ攻撃を実施しなければならなくなりました。
  この数年間にわたって起きております中近東地域における問題について書いてみましたが、中近東の安定は日本にとっても、世界にとっても重大なことです。
  日本ではエネルギー供給の約50%を占める石油を、中近東地域から90%くらい輸入しています。もちろん、欧米諸国をはじめ多くの国々が、天然ガスを含めて、エネルギー資源をこの地域に依存しています。
  従って、戦闘の終わったイラクが復興し、治安も回復して、民族間、宗教間の融和がはかられることが大切です。日本としても、遠い地域の話だと傍観しているわけにもいきません。マーリキー首相や副大統領を日本に招いたり、クルド人、シーア派、スンニ派の3勢力の人たちを我が国に招いて一堂に会し、お互いに本音を話し合ってみる機会を作ったりして、融和促進に援助の手を差しのべているんです。
  しかし、テロの起きる根本に宗教問題もあるでしょうが、大きな原因は「貧困と絶望」なんだと私は考えています。
  この問題が解決しないかぎり、テロの話は終わらないと思っています。これらを踏まえて、いま外務省が何をしているかは引き続き次号で書いてみることにしております。
 


Copyright 1999-2007 ASO TARO OFFICE All Right RESERVED.