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2007年7月号 |
『自由と繁栄の弧』 |
外務大臣就任から一年が過ぎた昨年11月、「自由と繁栄の弧」という提案を出しました。敗戦後の日本から世界に対して出してきた外交上のメッセージは基本的に「日米基軸」、「国連中心」、そして「近隣友好」の三本の柱から成っております。ご存じのように国連発足後、アメリカと国連が両者のうちどちらを取るかと二者択一を迫るシーンはありませんでした。
しかし9・11以後、イラクへの対応をめぐって「UN」と「US」は必ずしも同一の方向に向かうとは限らないという現実に我々は直面したんです。
今回のイラクへの陸上自衛隊の派遣は、その例の一つです。明らかに、冷戦構造崩壊後の世界における新しい現実というものに、日本は対処していかなければならないということです。われわれはその決断をするに当たり、USというプレイヤー(選手)との連携をとりつつ、UN(国連)という場所の中でプレーする、即ち国連決議に従って行動するというぎりぎりの選択をしたのです。
この判断の成否については、国会でも野党がいろいろ叫んでいますが、後世の歴史家の評価を待たねばならないでしょう。しかし、敗戦後60有余年、日米関係が今のように緊密に一緒に事を進めた例は過去になかったことだけは確かです。同時に日本に対する期待がアメリカに限らず、アメリカ以外の国からこれほど強くなったのも初めてのことです。そこで日本としては、外交の柱として四本目を出すべき頃合になったのではないかと判断し、今回の「自由と繁栄の弧」という提案をしましたが、いつものように日本国内では評価やコメントをマスコミからされることは、ほとんどありませんでした。しかし海外からの反響は少々驚かされるほどの好反響だったのが印象的でした。
日本外交の核の一つを説明するんですから、とても2000字くらいの「嘉麻の里」でまとめるのはムリです。詳しく知りたい方は『自由と繁栄の弧』という本を出版していますので、それを読んでみてください。要は欧米諸国が政治力とか軍事力でやろうとしたことを、日本は経済力と技術力でやろうじゃないかということであり、そしてこの提案の根本は「労働は美徳」とする日本人の哲学であるということです。
昔、台湾、香港、韓国、シンガポールを「四つの龍」とか「ミニドラゴン」と称して、アジアの新興国といった時代がありました。この四つの地域・国家は敗戦後の日本との付き合いの深かったところです。つまり「日本と付き合うと豊かになる」というわけで、これくらい判りやすいメッセージはなく、利に聡い華僑がこれに反応しないはずはありません。「ルックイースト」という標語を掲げてマレーシアが続き、タイ、インドネシアもこれに倣いました。アセアン諸国を中心にいかなる格差がついたか、現状を見れば答えは明らかであります。
日本は天然資源もなく、敗戦で焦土と化した国土に1億余の人口を抱えながら、間違いなく世界第2の経済大国の地位を保持し続けています。加えて日本の文化伝統は皇室をきちんと維持しながら、新しいサブカルチャー(アニメ、コミック、Jポップ、ファッショ・・・etc)を発信し、アジアの若者はもちろん、欧米の若者にも多大な影響を与えているのが現実です。
われわれはこの現実を率直に認めて、世界の期待に応えていくべき時を迎えたのではないでしょうか。ユーラシア大陸に今から大きく経済発展をしようと頑張っている国々があります。しかし急激に経済を成長させれば、環境汚染、水質汚濁といった公害が一緒についてきます。日本では3、40年前から経験ずみのことです。その対策方法も知っています。それを一緒に解決しませんか。これは強制ではなく、日本からの提案です。死んだようになっていた東京湾を生き返らせた実績があり、省エネの技術や植林の経験も多く、国土の約7割の緑地を維持している日本です。
ユーラシア大陸の弧に当たる地域に、日本と同様に歴史や伝統はあるが、資源や技術がない国々があり、自由、市場経済、人権という同じ価値観をもって立ち上がろうとしています。日本と一緒に「自由と繁栄」を目指してもらえば、その国々のためだけではなく、廻り廻って日本の更なる繁栄にもなるんです。興味のある方はどうぞ『自由と繁栄の弧』を読んでみてください。
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