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嘉麻の里
2007年9月号 『 世 界 好 況』
   これまで経験したことのない事態が起きると、通常こんなことはあり得ないと、人々は将来に不安をおぼえます。昨今起きているグローバル経済(世界一体化経済と訳して下さい)について2月号で「ローカルスタンダード」と題した異論を書きました。
 しかし今、現実に世界で何が起きているかを冷静に知っておく必要があります。その上でマネーゲーム、環境破壊、格差拡大、その他の批判をされるべきです。
 そこでまず第一の現実は、過去にはまったく例がないほどの世界経済の繁栄をみていることです。日本を含め不況国は一つもないといってよいほどの世界好況です。これまでに周期的に来ていた○○危機(金融危機、バブル崩壊危機)などは現状見あたらないようです。
 例えば「高い成長が続いて企業は空前の利益を享受しているのに、低金利が継続している」なんてことが過去にあったとは、経済史にもないと記憶します。住宅ローン問題などがあって安定しているとはいえませんが「アメリカの対外債務はさらに増えているのにドルの値崩れは起きていない」、「各国金融は引き締め傾向なのに、空前の金余り状態」、しかも主要国は「雇用状況はよく、石油をはじめ天然資源は高いのにインフレになっている国がない」といったことなど、従来の経済学の教科書には載っていないことばかりですが、この現実を素直に認めた上で「それでどうする」かを考えないと、事は始まらないと存じます。
 私が経営現場から離れて30年近くになりますが、今のこういう現状をみて「もしオレが今でも経営者だったら」と、ときどき考えることがあります。こういう都合のよいことがこれからも続くと判断したら、事業拡大です。そうじゃないのなら投資リスクの回避に先手を打ちます。
 しかし既述のように教科書に載っていないようなことが起きているというのは、これまでの経済理論や経験では答が出せないということでしょう。今は世界一体化経済になっていて、中国、ベトナム、インドといった国で優秀な安い労働力が安易に入手できるので、進出企業は利益を生みやすい。そしてその利益を金融市場に廻してさらに高い利回りで利潤を得ているんです。結果として先進国の人々は、額に余り汗することなく、多くの見返りを得ていることになります。
 日本人のように勤勉を旨として、物づくりに精を出す「労働は善」という美徳に従って生きてきた人間にとって、すぐには腑に落ちにくい、納得しにくい状況が起きています。経済用語でいうと、「労働力の不等価交換による、先進国における超過利潤の発生」、つまり先進国側が発展途上国の安い賃金労働者を受け入れ、自分の国の高い賃金労働者と入れ替えと、その賃金格差が利益を生むことになるわけです。欧米先進国で昔から起きている現象ですが、問題はそれから先です。
 しからば日本人労働者はどうなるのかということですが、その答は多分、日本人は物づくりの技術など付加価値の高い分野、精密工作機械分野などに特化していくということになるのじゃないでしょうか。つまりテレビとかパソコンといった末端消費材は中国、韓国にやってもらい日本が造る主な製品はテレビを作る「機械を作る機械」、通常マザーマシンといわれる生産財、人工資源といった分野のもので、他国の追随を許さない物づくりをしているのが現状です。
 そこで仮に中国の輸出が増えれば、日本からの生産財が自動的に中国に輸出されます。なぜなら日本の生産財がなければ中国の消費財は製造できないからです。従って日本からの生産財輸出が増えても、日中貿易摩擦といった騒ぎにはならないんです。
 こういう経済循環になったのは、日本人が昔からもっている勤勉さ、細部の仕上がりにこだわる緻密な仕上げ、納期を守って製品を納める等々、数え上げればいろいろと理由はありましょう。
 しかし今回異論として申し上げたいのは、世界一体化経済の大きな変化の中で日本は自分たちの持つ力を十分に発揮し、その存在感を確保し続けている現実です。そして他国にできない世界一の製品を作って生産財として輸出し、貿易収支でも8兆円の黒字を出している現実を知ってほしいし、日本の底力に自信を持って事に当たる気概を持とうではありませんか。


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