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講演・論文
2007年4月20日 読者の意見・質問に答えます

  前回のコラム欄外で、ご意見・ご質問を募集したところ、かなりの量のはがきが届きました。一つ一つを拝見させていただいている最中ですが、応募してくださった方々にまずは御礼申しあげるとともに、いくつかのご質問にお答えしたいと思います。
 まず多かったのは「外相として、一番気を付けていることは何か」というものです。  日本っていうのは地理的には小さな国ですが、経済的にはかなり大きい国です。GDPでみますと、アフリカ53カ国を足したものが韓国とほぼ同程度になりますが、日本はその約6倍。中央アジア全部を足して三重県のGDPとほぼ同じですから、世界的にみるとやっぱり大きな国なんです。
 ですから、外国の方々とお会いするとき、これだけ大きな国の外務大臣ということを自覚して対応するということ。もう少し具体的に言えば、先進国であろうと発展途上国であろうと普通に対等にお付き合いをする、尊大でもなく卑屈でもなく、極めて自然に対応するということでしょうか。
 「日本は近隣諸国に迷惑をかけたから、謙虚に生きねばならぬ」と、私たちの世代は育てられてきました。しかし、戦後60年もたつと世代が変わっており、「日本はこれだけ一生懸命やっているのに、なんでペコペコしなくちゃいけないんだ」という目で見る若い世代も出てきています。
 こういう人たちが見ている前で、外国の要人たちと会談する外務大臣が、なんとなく卑屈だったりへりくだったりしていると、安っぽい妙なナショナリズムを煽ることになる。それは断固避けねばならんと思いますんで、ここに気をつけています。
 次に「日本の外交は弱く感じる」というご意見がありましたが、確かにその通りかもしれません。戦後、日本は国力に見合った発言をしてきませんでした。しかし、平和貢献とかいろいろな形で国力に見合った対応をしていかないと、日本は単なる極東の島国で、ただ単に金を持ってるって感じになってしまいます。
 この1年半、「自由と繁栄の弧」を打ち出すなど、日本の地平線を広げる施策を行ってきました。他の国ができない、日本ができることをもっと自信を持って発言し、実行していかなきゃならないでしょう。世界の常識として、やったことはやった、やらないことはやらない、やれないことはやれない―ということは、きちんと言っていかねばならないと思っています。
 休日の過ごし方についての質問も多かったですが、外相になってからは丸々一日休みという日はほとんどないのが実情です。ですから、土日に仕事で地方に行った際、時間があればたまにゴルフをしたり、あとは家族そろってウチで食事をしたりといった感じで過ごしています。ああ見えて、うちのかみさん、飯を作るのがなかなかうまいもので。  最後に、「人生で苦しかったこと、また楽しかったこと」についてですが、苦しかったのは、なんといっても経営に携わっていた石炭会社の炭坑を閉山したとき。世の中が高度経済成長の真っ最中だった昭和40年代前半のことでしたが、約2000人いた従業員の再雇用問題など、本当にしんどくつらい思いをしました。
 楽しかったのはいろいろありますが、22歳のときにクレー射撃の全日本選手権大会で優勝したときですかね。日本新記録を出して史上最年少で優勝したんですが、今でも鮮明に印象に残っています。
 

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