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講演・論文
2008年2月8日 『基礎年金部分は全額税方式に』  

   揮発油税の暫定税率などの期限を5月末まで延長するため、与党側が提出していた「つなぎ法案」が、河野衆院議長や江田参院議長の斡旋(あつせん)により本会議採決が見送られました。
 採決が行われていれば、野党側の反対で参院で法案は否決。衆院の3分の2以上の再可決を持って成立されていたと思われますが、私は外交や防衛など国益に直接影響する事を迅速にやらなきゃならん場合は「3分の2条項」を使うのはやむを得ないと思いますが、その他の場合は徹底的に議論を重ねるべきだと主張してきました。
 それだけに、今回の与野党合意は極めて良い結果をもたらしたと思っております。今後、常識的には法案ごとに政党間協議が丁寧に行われていくことになるんだろうと思われますが、今国会に提出されている法案以外にも国家プロジェクトといった視点で与野党が真剣に協議し、形作っていかねばならないものが数多くあります。
 その最たるものは、なんと言っても年金問題でしょう。今や国民年金の納付率は6割程度で、「国民皆年金」とのうたい文句は死語と化していることは、皆さんご承知のとおりです。加えて、社会保険庁の許し難い実態も明らかになり、皆さんの不信や不安は頂点に達した状態が続いていることと思われます。
 国民に安心をもたらすことは政治の責務です。そのためには年金制度を抜本改革し、私は基礎年金部分は全額税方式にする必要があるとの結論に達しました。詳しくは9日発売の『中央公論』に提言といった形で寄稿しておりますので、お読み頂ければ幸いですが、財源は消費税を上げて充当すべきだと思っております。
 消費税アップとなると、景気が悪くなると心配される方も多いでしょうが、税方式にすることで、皆さんが払ってきたその分の保険料負担はなくなります。さらに、厚生年金の場合は、企業の負担軽減分を給与に還元させるようにするのです。当然、個人の可処分所得は増えるわけで、消費が大きく冷え込むことはないでしょう。
 そして絶対に忘れちゃいけないのが、今まで保険料を払っている人たちの分はどうするかという問題です。これは、払ってきた人の分はきちんと記録し、それに応じた金額をプラスアルファとして支給し続けることでクリアできます。制度が変わったからといって、既存徴収分を無視することは理不尽で、絶対にしちゃあいけません。
 厚生労働省の調査では、2005年時点で生活保護を受けている約55万6000人の高齢者(65歳以上)のうち、52・9%の29万4000人が「無年金者」であることが判明しています。税方式で国民皆年金にすれば、生活保護を受ける高齢者の方々も減るわけで、運用の仕方次第で財政面でのメリットもかなり出てくるのです。
 

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