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講演・論文
2008年5月16日 『与野党が責任持って政策協議 』  

   先週末に発売された「文芸春秋」6月号で与謝野馨前官房長官と対談し、「民主党よ、現実にかえろう」と題した共同提言を発表しました。
 簡単に言えば、与野党が政局優先の目先の小さな政治に落ち込み、大胆でスピーディーな政治を求める国民の思いに応えられていない。ゆえに、全党参加の協議機関を政策テーマ事に設置し、与党の閣僚と民主党の次の内閣担当相が与野党それぞれの意見集約に責任を持って協議にあたろう――というものです。そして、皆さんが将来への不安を感じないで暮らせるよう消費税を10%に引き上げ、年金や地域・高齢者・緊急医療などの社会保障目的税としようということも併せて提案しました。
 なぜ、この時期にこうした提言をしたかと言えば、すでに年金制度など国の根幹を支えてきたシステムが制度疲労を起こしており、抜本的に改めるのは待ったなしの状態だと考えているからです。
 1917年の第1次欧州大戦で日本は戦勝国となり、いわゆる勝ち組となりました。しかし、その後の国際情勢の変化にまったく対応できず、気が付けば負け組に転落していたのは歴史が示す通りです。
 そして1990年。東西冷戦が終わり日本は勝ち組になりました。しかし、その後の十数年で世界は急激に変化しておりますが、日本はこれに対応しきれていないんじゃないでしょうか。
 例えば、日本はどの国も経験したことがないデフレ下の不況という状況に直面。情報化という大きな波も押し寄せて来ましたが、この5〜6年でやっとどうにかというところまできたのが現状でしょう。また、少子高齢化が世界で最も早く進んでいることは、皆さんご存じのとおりです。
 確かにこれまで日本は、明治維新からのシステムである中央集権国家や官僚主導といったもので成功してきました。しかし、今ここに至っては、こうした古いシステムではこの困難な状況を乗り切ることはできず、仮にできたとしても活力ある高齢化社会を迎えることは極めて難しいと考えております。
 日本人には「底力」というとてつもないパワーがあります。しかし、これを引き出すシステムがなければ、その真価は発揮されません。
 私は「小さくても強くて温かい政府」という、新しい日本の形を作っていくべきだと主張しておりますが、地域主導型道州制とか分権国家とかいろいろ表現はあるでしょうが、こうしたものにシステムを変えていかねばならないと考えております。
 今、政界再編の話がえらく盛んですが、政界再編というものができないと政治が動かないという前提に立つのはおかしな話です。国の今後の在り方を議論し、実際に政治を動かしていく中で、結果として政界再編が起きることもある。これが極めて自然な形なんじゃあないでしょうか。
 

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